病気の症状と状態
統合失調症
統合失調症では、脳内の各部位にある精神機能ネットワークがうまく働かなくなっていると考えられます。その原因として、ドパミン神経系やセロトニン神経神経系の機能障害、グルタミン酸神経伝達の障害などよる情報伝達の異常が関係しているようです。
精神機能ネットワークの不調によって、感情の表出や意欲が低下するほか、正体不明の声が聴こえてくる、自分が悪意をもたれていると確信する、自分の考えが周囲に伝わっていると感じるなど、さまざまな体験をします。
幻覚や妄想などの陽性症状
・幻覚:現実にないものをあるように感じる
例)まわりに人がいないのに声が聴こえる(幻聴)
・妄想:現実にはあり得ないことを信じ込む
例)嫌がらせをされている。盗聴されている(被害妄想)
例)周囲からじろじろ見られている(被注察感)
・自我意識の障害:誰かに支配されていると感じる
例)自分の考えが周囲に漏れ伝わっている、筒抜けになっている(思考伝播)
例)誰かに操られていると感じる(作為体験)
・思考障害:まとまりのない会話や行動になる
例)考えにまとまりがなくなり、一つの話題から全く別の関連性のない話題へ話が飛んだり、つじつまが合わないことを言ったりする。
意欲低下などの陰性症状
・感情鈍麻:喜怒哀楽の表現に乏しくなる、感情が平板化する
・意欲低下:意欲や気力の低下。行動を持続できない、注意・集中力が低下する
・対人コミュニケーションの障害:人と関わることが減り、自閉的になる
臨機応変さが低下する認知機能障害
・選択的注意の低下:情報や刺激を選んで、それに注意を向けることができない
・比較照合の低下:過去の記憶と比較して判断できない
・概念形成の低下:さまざまな情報に対し、類似点と相違点を区別して物事をグループに分けて概念化する機能が低下する